沿革は古く、設置は戦前にさかのぼる
近年、医療施設の統廃合問題から
一時は存続が危ぶまれたが
町に移譲することで決着
外来と病棟を結ぶ長い渡り廊下
間取りは当時と同じ
「再びこの廊下を渡って帰れるだろうか」
ある患者が入院する際洩らしたことばから
「三途の廊下」
と呼ぶ人もいるとか
明るい雰囲気のナース・センター
人の命を預かる大事なしごと
笑顔の中にも緊張感が あり
動作もテキパキ
日勤・準夜勤・夜勤の三交代
ほんとうにご苦労様
日勤を終えた看護婦さん
撮影をお願いしたら
快く応じてくれた
この笑顔が患者を元気づける
以前とはみちがえるように、明るく清潔になった病棟
しかし、どんなに新しく模様替えされても
入院患者たちは、家へ帰れることを
ひたすら願う
病室に乳白色の光がなだれ込む
ここのある年老いた入院患者だけはこう言ってため息を洩らした
「もう3ヵ月経つから、一度退院しなければならない。帰ればまた厄介もの扱いだ。このまま住まわせて欲しい・・」
より深刻な病巣を抱えているのは、むしろ外の世界の方かもしれない
■ 大きい画像は「新・山中温泉紀行」に