来年は猪突猛進。ここはいっちょう、仕事で勝負をかけるとするか。が、問題は銀行の貸し渋りだ。こうなりゃ、頼みの綱は商工会にいる経営指導員のD氏。恩も売ってあることだし、頼りがいもある。さっそく相談を持ちかけたところ、あにはからんや。
「仕方ありませんね。銀行はそもそも返済能力の無い者には融資などしないんです」
との返事にムカッ。
「あんた、
一言多いな。『返済能力が無い』とは失礼じゃないか!」
私が語気を荒げたので、D氏はすかさず言いなおした。
「す、すみません。私はそんなつもりで言ったのではなく『銀行はそもそも
能力の無い者には融資はしない』と言おうとしたんです」
私がそのまま無言で立ち去ったのは言うまでも無い。
帰途、考えているうちに腹が立ってきたので、引返した。
「一言多いの意味が分かってないな。俺を無能呼ばわりするとは、一体どういう了見だ!」
「能力が無いと言って差支えあれば、能力が低い、と訂正します。つまり、無能ではなく、低能です」
「ああ、なるほど、低能者か。それなら納得だな」
師走の風は冷たい。びゅぅ~っっ・・・
教訓 ・ 恩は仇で返される